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密室の恋3 その28

「ああ、もう少しだよ、もう少しの辛抱だ、薬をもらって、楽になるからね、しっかり首に手を回していなさい」

エレベーターの中で…どんどん意識が遠のいていく。


息が


私…死んじゃうの?


くるしい


こんなに叫んでいるのに声にならない…息も出ない…


ダメなの…?


どうせ


どうせ死ぬなら


このままこの人の腕の中で死にたい


神様お願いします


死ぬのならこの人の腕の中で死なせて


そうしたら私安心して成仏できると思うから


広くてあったかくて…気難しいけど本当はとても優しいこの人の腕の中で抱きしめられて死ねたら


この人と一緒にいるととても安心するの


なんでだかわからないけど…私にはこの人の全て理解できる


神様お願い


このまま抱きしめられていたい


さいごのときまで


大好きな人に


なるあきくん


だいすき


初めて会った時から


大好きなの…




「会長、こちらへ」
「ああ、これは」
「やはりそうか?」
「ですね」
「すみません、ストレッチャーへ寝かせてもらえますか、アドレナリン打ちます」
「ああ」
「はい、もうしストレッチャーもう少し下げて。足高くして、少しでも脳に血液が流れるように」
「はいっ」
「...まだ効かないのか」
「まだなんとも…進行がとても早いですね。10分くらい様子を見ましょう」
「10分!?間に合うのか、それで。アドレナリンが効かない可能性は?」
「それは…血圧の薬を常用しているとありえますがそういうケースは非常に少ないです。彼女は投薬はされてますか?」
「それはないと思うが」
「もしその場合は別の薬剤になるのですがここには置いてないんです。あと輸液も…アドレナリンを打って待つしかないんです」
「そうか」
「呼吸器装着します」
「マズイ、心臓が止まる、AED、AED」
「はいっ」
「蘇生準備」
「蘇生?そんなにひどいのか」
「わかりません、ただ対処するしかないんですよ。血液と酸素が止まらないように…脳に回らなくなったら危険です」
「早く、胸骨圧迫」
「AED装着します」


ーーシンデンズヲシラベテイマスーー



いつの間にか

わたしは真上から彼の背中を見ていた

いや、見ていたという表現が正しいのかわからない

実体を感じないのだから

つまり…そういうことだ

私の願いはもう叶ってしまったらしい
(はやっ)


ーーデンキショックガヒツヨウデスーージュウデンシテイマスーー


彼はピッタリ私に寄り添って

上から見るとまるで祭壇に横たわる仮死状態のジュリエットに囁き続けるロミオ…


ーー嘘だろう…こんなに急に


頼む、持ちこたえてくれ


キミがいなくなったらオレはどうすればいいんだーー



うなだれて嘆き悲しむ王子様のーー音になってないかもしれない声がした



ーー何故こんなことに

何があったんだ


キミをいかせるんじゃなかった

オレが悪かった、許してくれーー



私の大好きな低いセクシーな声が私の中をすり抜けていく



ーーキミがいなくなるなんて

頼む、オレをおいて逝かないでくれ



キミを…愛しているんだーー





そのとき

部屋全体がまばゆい光に包まれた

何故か
伝説のドラマ東京ラブストーリーの主題歌がジャジャーンと流れはじめる

 

 

なんだこれ(笑)




キラキラ白金の微粒子が舞い降りる

 

 

 

 

 

『聞こえたでしょう?彼の心の声が。あなたはどんなことがあっても九条なるあきについていきなさい』

 

え?なに

謎の声が・・・

 

映画かよ(笑)

 

同時に

 

ちょ、え・・・


彼を見ていたわたしという存在は消えた




ーーカラダカラハナレテクダサイーーボタンヲオシテクダサイーー





「会長、離れてください、電気ショック、きます!」
「!?」
「あぶないっ」


ーーデンキショックヲオコナイマシターー



「何が起きたんだ」
「大丈夫ですか?」



「脈戻ってます」
「助かったー」
「救急車きましたーーー」
「ああ、あぶなかった…よし、このままいこう」


そうして

私は骸となりかけていた私の本体に戻った。




「会長!」
「秘書室長」
「会長、どうなさったんですか、まあ、市川さん!これは…一体」
「ショック状態になっててーー応急処置をしていたところです」
「ショック状態?」
「上で倒れたんだ」
「上で!?申し訳ございません、気づきませんでしたわ」
「いや」
「会長、お顔が真っ青ですわ」
「そうか」
「彼女の腕が会長の首に巻きついていたんです。よほど苦しかったんでしょうね。少しうっ血しているかもしれません」
「まあ、大丈夫ですの?」
「なんとか息は吹き返しました。あとは病院で」
「息が止まってたの」
「ええ、ほんの数分ですが」
「本当に大丈夫?後遺症とか」
「また、病院から連絡します」
「そう」

「準備整いました。同行される方ははやく乗ってください」
「会長」
「すまない。私も一緒に行くのであとのことはまかせる」
「ええ、ええ、もう言ってありますわ。会長もお医者様にみていただいた方がーー」
「ありがとう…それじゃ頼んだよ」
「はい。お気をつけて」



「処置はアドレナリン剤と電気ショック一回ですね」
「はい」
「会長、大丈夫ですか、顔色が」
「ふー…心臓に悪いな」
「ホントに。急変するから…焦りますよね」
「キミがうまく対処してくれてよかったよ」
「そんな、当たり前のことです」
「ああ、だが正直もうダメかと…」
「会長、あのーー」
「ん?」
「付かぬ事をお伺いしますが、ごけっこん…されてるんでしたっけ」
「いや、してないよ。なんだ?」
「いえ、あの、されてたかな…とふと気になったものですから、すみません」
「よく言われるんだ。そろそろ…。だがとてもそんな余裕がなくて」
「そ、そーですよね、ははは、すみません、きにしないでください、俺一体何言ってるんだろう」
「すみません、静かにしてもらえませんか、心音とってるんで」
「あ、すすすすみません、俺としたことが」



「結婚か…」



いにしへの昔からーー



乙女の目覚めの特効薬は王子様のキスときまっている

厳密に言うと今のはキスじゃないけど…まあいいじゃん

そして私の場合は東京ラブストーリーがその際のテーマソングであるらしい笑
古すぎない?実はドラマはよく知らない。歌だけ脳がストックしていたらしい。乙女の演出用?

 

変な声が聞こえたような・・・

 

??

とりあえず合格___

日頃色々こうるさいけどちゃんと私を助けてくれた







ありがとう





なるあきくん





わたしここにいるよ





あなたのそばに





いつも





いつまでも





これからも





よろしくね
















 

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